
- サウナ発祥国ってフィンランドじゃないの?
- フィンランドサウナって日本とどう違うの?
- フィンランドのサウナ文化って?
こんな疑問をお持ちのあなた。
本記事では、フィンランドのサウナ文化を特徴づけるエッセンスや基本作法、そしてフィンランド人のサウナ観をご紹介します。
結論から言うと、日本サウナとフィンランドサウナとの間には多くの違いがあり、しばしば決定的な誤解も見受けられます。
以降で、まとめていきます。
目次
サウナ発祥国はフィンランドと言い切れない

サウナとは、古来フィンランドの地に根付く熱気浴を指します。
しかし、具体的な発祥年代や民族の特定は難しく、フィンランドがサウナの発祥国だと言い切れる確証はないのが現実です。
フィンランド以外の国でのサウナ
同じような入浴方法は、呼び名こそ違えど現在のフィンランドに限らず、ロシアやバルト海沿岸などの諸地域にも昔から存在していました。
2019年頃から日本にも空前のサウナブームが到来し、次々にサウナ関連施設やビジネスが生まれて、サウナー(サウナ愛好家)のコミュニティが拡大しています。
だからこそ、間違った知識や情報が蔓延しやすいとも言えます。
少しでも誤解が生まれぬように、以降ではフィンランドサウナと日本サウナの違いについて紹介していきます。
フィンランドと日本における公衆サウナの違い

フィンランドサウナの基本は、お手製の蒸気を浴びること
フィンランドでは「熱い空間でじっと耐える」行為や場所のことをサウナと呼ぶわけではありません。
一般的には、ベンチとサウナストーブが設置された密閉空間で流動する豊潤な蒸気を全身で浴びる入浴方法のことです。
ストーブ上で熱した石に柄杓で打ち水をすると、高温の蒸気が吹き出して「ジュッ」という音をたてる蒸気は、しだいに空間全体に充満します(一般的にロウリュと呼ばれる)。
日本のサウナ界でも浸透しつつあるロウリュというフィンランド語は、サウナ室で浴びる蒸気をつくり出す行為のこと。あるいは蒸気そのものを指します。
そして、ロウリュは入浴者当人が行うため、そろそろ蒸気の鋭い刺激が欲しいなと感じたら、自身で打ち水をするといった具合です。
複数人でサウナを利用している場合は、蒸気のタイミングや量が人それぞれなので、「ロウリュしてもいいですか?」と周りの人へ一声かけるのが暗黙のルールだったりします。
フィンランドサウナには、パフォーマーもリーダーも不在
日本のサウナ愛好家が聞くと意外と驚くのが、「フィンランド人はサウナでタオルを振り回さない」という事実。
日本では、サウナ室内で代表者がタオルをブンブン振り回して、肌への刺激の強い熱波を起こすのがフィンランド流と誤認されていることが多いです。
本来はドイツサウナ由来の「アウフグース」というエンターテインメントを指します。
フィンランドでは、利用者が各々のタイミングで打ち水をして蒸気を浴びるロウリュ以外に、サウナ室内でこれといったパフォーマンスを行いません。
強いて言えば、「白樺の葉を束ねた葉束(ヴィヒタ)」でバシバシと体を叩き合い、肌への刺激や葉から出る天然のアロマを楽しむという習慣があります。
とはいえ、現代ではロシアやバルト諸国など周辺国の人たちの方が、より日常的に行なっている印象です。
フィンランドサウナは、時計を必要としない
ストーブで熱されたサウナ室内の温度は、当然人によって好みは分かれるものの、日本のサウナより約20℃近く低い60〜80℃くらいがフィンランド人にとっての適温。
蒸気が吹き出すと、瞬間的に湿度が跳ね上がって体感温度が上がりますが、すぐにマイルドな温度に落ち着きます。
呼吸のしやすい温度環境で、身体の深部や抹消にまで熱が沁み入り、一定間隔をおいてロウリュを繰り返すことで、皮膚感覚が心地よく刺激されます。
そして、フィンランドサウナの室内には12分計も砂時計もありません。
それは外的な指標に縛られなくても、自発的に好きなだけ長く居られる証であり、そもそも無理をして長く居る必要はないという証でもあります。
サウナでの滞在時間を決めるのは人それぞれ、その日その場所での感覚的な欲求や満足感ただそれだけです。
フィンランド人のサウナ文化の特徴

サウナの中は、フィンランド人が本音を話せる場所
一般的にフィンランド人は、シャイで物静か、愛想笑いや上っ面の人付き合いが苦手な気質と言われています(もちろん個人差はあります)。
しかし、薄暗くてリラックス効果のあるサウナ室内は、たわいのない雑談から、普段はあまり人に話せないセンシティブな内容まで、あらゆることが話しやすい場所でもあります。
そのため、フィンランド人にとってサウナは、裸の付き合いという意味通り本音が話せる空間であるとも捉えることができます。
「スチーム・オブ・ライフ」で観るフィンランド人
2010年にフィンランドで公開された「スチーム・オブ・ライフ(原題:Miesten vuoro 意味:男たちの(サウナの)番)」というドキュメント映画はご存知でしょうか。
風変わりなオムニバス形式の本作品は、フィンランドのプライベートサウナや公衆サウナで、様々な世代の男性たちの会話が終始記録されています。
会話内容には脚本があるのかもしれませんが、虚栄を捨てて心のうちを話をする姿は、フィンランド人特有のサウナ文化を垣間見ることができます。
すべてのフィンランド人が真冬の湖へダイブするわけではない
長くサウナにいることで温まった身体をクールダウンしようと、外気浴に出るのは当たり前ですよね。
この時、フィンランド人は凍った湖の穴へダイブしたり、雪を身体に擦り付けるといった究極の外気浴のイメージが強いですが、あくまで真冬の話です。
フィンランド人であっても生涯未体験の方は多くいる上に、フィンランドサウナにおける外気浴は、サウナタイムを長く楽しむためにあります。
また、日本サウナには欠かせない人工的な水風呂もフィンランドサウナにはほとんど見当たりません。
フィンランド人は「ととのう」を知らない!?
サウナ愛好家の間ですっかり定着した「ととのう」ですが、実はフィンランドでは該当する言葉が見当たりません。
ただし、ロウリュの際に「フュヴァット・ロウリュット(いいロウリュだね)」という言葉をつぶやくことはあるようです。
2018年4月28日にフィンランド公共放送局の配信するウェブニュースでは、日本のロウリュ ブームと「totonou」が紹介されたことで、日本人がフィンランド語辞書にないサウナ用語を生み出したとフィンランド人を驚かせました。
まとめ:フィンランドへサウナ旅行を計画しよう

ご紹介した内容をもう一度まとめておきます。
✔️フィンランドサウナの特徴
- サウナ発祥国がフィンランドという確証はない
- サウナの基本はロウリュで蒸気を浴びる
✔️フィンランドと日本のサウナの違い
- アウフグースなどのパフォーマンスはない
- マイペースが大事なのでサウナ室内に時計はない
- サウナはなんでも話せるリラックス空間
✔️フィンランドのサウナ文化
- 「スチーム・オブ・ライフ」でサウナ文化が垣間見える
- 真冬の湖へダイブするのはごく一部の人だけ
- 「ととのう」は日本で生まれた言葉
日本サウナとフィンランドサウナとの間には多くの違いがあり、しばしば決定的な誤解も見られることがおわかりいただけたでしょうか。
とはいえ、サウナは楽しむことが何よりも一番なので、知識は頭の片隅に入れておく程度で大丈夫です。
近年、サウナ旅の一環としてサウナを目的としたフィンランドの旅行パックもあったりするので「フィンランド サウナ 旅」での検索もオススメします。